タレントや女優の間で、スムージーを使ったダイエットが人気です。
野菜の栄養をそのまま摂れるスムージーは、健康によくダイエット効果も高いためです。
ダイエットで使うスムージーは、カロリーの低い葉物野菜と果物を使った「グリーンスムージー」が主流です。
グリーンスムージーには色々な野菜が使われますが、その中でもよくみかける野菜がほうれん草です。
ほうれん草はビタミンCなどの栄養価が高く、スーパーで簡単に手に入る野菜なので使いやすいんですね。
でも「生のほうれん草は危険」だという話も耳にします。
生のほうれん草は、本当にグリーンスムージーに使ってもいいのでしょうか?
ほうれん草のシュウ酸は危険?
ほうれん草を生で食べるのが危険だといわれる理由に、ほうれん草に含まれている「シュウ酸」があります。
シュウ酸はほうれん草のアクに含まれている成分の1つで、葉物野菜やお茶などに多く含まれています。
シュウ酸の何が問題なのかというと、シュウ酸はカルシウムと結びつくと体内で固まり「シュウ酸カルシウム」という結石になることです。
例えばシュウ酸が尿道の中で尿に含まれているカルシウムと結合して「シュウ酸カルシウム」になると、尿路結石になります。
尿路結石の8割は、このシュウ酸カルシウムが原因です。
尿路結石は男性に多い病気ですが「のたうち回るほど痛い」といわれています。
同じように腎臓でシュウ酸カルシウムができると腎臓結石になってしまいます。
ほうれん草のシュウ酸は気にしなくても大丈夫
シュウ酸を摂りすぎると結石の原因になることがわかりました。
それではグリーンスムージーには、生のほうれん草は使わない方がいいんでしょうか?
じつは、ほうれん草に含まれているシュウ酸の量は気にするほどの量ではありません。
「ほうれん草=シュウ酸」というイメージが強いですよね。
確かにほうれん草は、葉物野菜の中ではシュウ酸の量が多い野菜です。
でも普通に食べたり、グリーンスムージーに使う程度の量であれば、生のまま使っても問題ありません。
ほうれん草を毎日1キロを摂り続けたりしない限りは気にしなくても大丈夫です。
ほうれん草よりも飲み物のシュウ酸に気をつけよう
ほうれん草のシュウ酸よりも問題になるのは、じつはお茶やコーヒーなどの飲み物に含まれているシュウ酸なんです。
特に玉露や紅茶などのお茶は植物のエキスからできていますから、シュウ酸の量が多いんです。
100gあたりのシュウ酸の量
- 玉露 1350ミリグラム
- 抹茶、煎茶 1000ミリグラム
- 紅茶 939ミリグラム
- ほうれん草 800ミリグラム
- 番茶 670ミリグラム
- ココア 623ミリグラム
- バナナ 500ミリグラム
- キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、レタス 300ミリグラム
- ほうじ茶 286ミリグラム
ほうれん草を毎日1キロ食べ続けるとシュウ酸の摂りすぎになるといいましたよね。
でも普通はそんなに食べることはないはずです。
ほうれん草を食べてもせいぜい1日200gといったところでしょう。
わたしたちは普段の食生活で同じ野菜を毎日食べ続けることは、ほとんどありません。
でもお茶やコーヒーは違います。
飲み物はどれくらい飲んだかあまり意識しないので、1日に5~6杯平気で飲むことも多いですよね。
特にコーヒーが好きな人は、1日に何杯もコーヒーを飲むことが習慣化しています。
海外の研究では、結石で病院に通っている人の80~85%は、コーヒーや紅茶からとったシュウ酸が原因で結石になっていることがわかっています。
わたしたち日本人は紅茶やコーヒーに加えて、お茶もよく飲みます。
そのため、ほうれん草よりも、飲み物に含まれるシュウ酸を注意する必要があります。
ほうれん草のシュウ酸を減らす方法
ほうれん草のシュウ酸は気にするほどの量ではありませんが、どうしても気になる人もいますよね。
家族や親戚に結石になっている人がいたりすると、遺伝的に結石になりやすいかもしれません。
そんな人のために、ほうれん草のシュウ酸を減らす方法を紹介しますね。
カルシウムの多い食品と一緒にとる
シュウ酸と一緒にカルシウムをとらないほうがいいイメージがありますが、じつは逆なんです。
シュウ酸と一緒にカルシウムの多い食べ物を食べると、腸の中で結合してシュウ酸カルシウムになります。
そうなれば自然に便としてそのまま体の外に排出されます。
スムージーに牛乳や豆乳を入れれば、カルシウムも一緒に摂ることができます。
ただし、カロリーが高くなるので入れすぎには注意してください。
サラダほうれん草を食べる
サラダほうれん草は、サラダ用に作られたほうれん草です。
普通のほうれん草よりも茎が細くて柔らかく、味もえぐみがないのが特徴です。
サラダほうれん草は水耕栽培で育てているため、普通のほうれん草に比べて、シュウ酸の量が少なくなっています。
値段は普通のほうれん草よりも少し高いですが、生のままでも食べやすいので、スムージーの材料としても使いやすいです。
ゆでる
ほうれん草を3分間ゆでると、シュウ酸を30~50%減らすことができます。
ほうれん草をゆでると、アクとしてシュウ酸が流れ出すためです。
ただし、ゆでてしまうと、ビタミンCなどの水溶性ビタミンが水に溶けだしてしまいます。
ほうれん草をゆでるときは、ビタミンを残すためにできるだけ短時間ゆでるようにしましょう。
水分をしっかりと摂る
ほうれん草のシュウ酸を減らすわけではありませんが、水分補給をすると尿路結石の予防になります。
水分が不足して尿の量が少なくなると、シュウ酸とカルシウムが結びつきやすくなるからです。
シュウ酸の含まれていないミネラルウォーターなどで水分補給をしっかりしていれば、尿路結石を防ぐことができます。
スムージーに使う野菜は定期的に変えましょう
ほうれん草のシュウ酸は、スムージーに使う程度の量なら問題ありません。
ただし大量のほうれん草を食べ続けないために、定期的に野菜を変えて色々な野菜を食べましょう。
またシュウ酸以外にも、野菜には動物から身を守るために、少量のアルカロイド(毒素)が含まれています。
アルカロイドは少量なら体にいいんですが、同じ野菜を食べ続けて毒素が蓄積してしまうと、中毒を起こす可能性があります。
コーヒーに含まれているカフェインもアルカロイドの1種です。
コーヒーを飲み過ぎるとカフェイン中毒になって気持ち悪くなりますよね。
同じようなことが同じ野菜ばかりを食べていると起こる可能性があります。
色々な野菜を食べることで、いろいろな栄養を摂ることもできます。
季節によって、栄養価の高い旬の野菜を積極的に食べるようにするといいですよ。
生のほうれん草をスムージーに使っても大丈夫
生のほうれん草にはシュウ酸が含まれていますが、他の葉物野菜にもほとんど含まれています。
スムージーに使う程度の量なら大丈夫ですので安心してください。
どうしてもシュウ酸が気になる人は、サラダほうれん草を使うといいですよ。
シュウ酸は、ほうれん草よりも普段飲んでいるお茶やコーヒーの影響が強いので、そちらを気をつけたほうがいいでしょう。
お茶やコーヒーはカロリー0ですし健康にいいイメージがありますよね。
そのせいで、ゴクゴクと飲み過ぎているかもしれません。
体にいいと思って飲み続けていたら、知らず知らずのうちにシュウ酸カルシウムが蓄積されていた、なんてことになったら悲しいですよね。
そこまで厳しく飲み物を制限する必要もありませんが、飲み過ぎには注意したほうがいいでしょう。